酒と本

健忘症の備忘録

奪われざるもの

また久々に再開。*1

仕事を始めたら、目の前のことにかまけて全く更新していなかった。

飽き性の健忘症。

まぁ、こんなもんだと思いながら、気が向いたので再開しよう。

 

今回は小説ではなくノンフィクション。一時期、話題となった「ソニー追い出し部屋」がテーマ。

ソニーという一流企業に入社し、有能であるにもかかわらずリストラ対象となった人々の苦悩と戦いがつづられている。

リストラ対象の社員たちが「誇り」「生活」「仕事への愛着」「愛社精神」などによって、リストラに憤慨したり諦観したりしているのは、1人のサラリーマンとして身につまされる内容である。

 翻って自分の身に同様のことが起こったらどうであろうか。私の勤めている会社は零細もいいところで、同様の仕事をしているところはいくらでもある。条件の良いところは星の数ほどある。

それでも今の会社を辞めたいと思わないのは、これまで自分がここで創りあげてきたきたものに誇りを持っているからなのだろう。

逆に会社がこの誇りをないがしろにすることがあれば、いつ辞めても再起は可能だと感じさせてくれた。

酒は発泡酒、肴はチェーンの牛丼屋の牛皿なんてよさそう。

 

以下に気に入った部分を引用する。

多くの社員は「トップは赤字でも多額の報酬をもらっているし、カネはもらわなければ損だ」と考える。

そうした空気の中で、吉松は「お金を積まれて辞めるわけではないから」と考えた。

 

(中略)

 

会社が危機に陥った時、律義に社内秩序を守ろうとしたのは皮肉なことに女性たちだった。

ソニーってもっと奇麗な会社だったよ。甘ちゃんでやんちゃな社員が多いけど、潔癖な人ばかりだったのに・・・」

と居酒屋で男たちをしかりつけた女性がいる。「もう腐ったソニーは見たくない」と言って辞めた人もいたという。化粧の奥に固い心の核を隠していたのだ。

 

*1:実に5年ぶりか…。