酒と本

健忘症の備忘録

鬼平犯科帳

池波正太郎の小説で最も有名なのは鬼平犯科帳だろう。 ドラマ化され、果てはアニメ化までされていて、アマゾンプライムで見ることができる。*1 代表作だけあって、冊数も多く、秀作も多い。 文庫版で24冊。24冊目は作者が死去したため未完となっている。 池…

ひまわりの祝祭

ハードボイルドとミステリーの違いがよくわかってない。 ハードボイルドミステリーって、そのジャンルの中に細分化されて存在しているのだろうか? であるならば、順序によって大まかなジャンルを表しているのかな? 順序を変えると人面魚と魚人くらい違いそ…

坂口安吾の評論

根っこのところがコレクター気質なので、たいてい本は新品を購入して、本棚に並べて満足している。 そのため、買うときは本屋に行って物色しているわけであるが、本屋には流行作家の売れ筋が平積みされていても、著作権の切れたような半分歴史上の人物の本は…

一九八四年

ジョージ・オーウェル、高校生は知っているかもしれない名前だ。 なぜなら、現在高校1年生が使っているコミュニケーション英語の教科書であるelementに名前が出てくるからだ。とはいえ、科学技術の進歩とその扱いに関しての文章だったので、彼の作品について…

19歳 一家四人惨殺犯の告白

最近は小説だけではなく、ノンフィクションもよく手にするようになった。 大量のニュースに埋もれてよくわからないままになっている様々な事件に今更ながら興味がわいてきたのかもしれない。 と、偉そうなことを言うが実のところは旅行中、バスや電車での移…

日本人の戦争 ~作家の日記を読む~

比較的歴史は好きなほうだ。 とはいえ、近代史や現代史はあまり好きではなく、最も好きなのは中世史である。いずれは細川重男の「執権」や、小説ではベタだが吉川英治の「私本太平記」「新平家物語」なども備忘録に加えたいものだ。*1 ドナルド・キーンとい…

奪われざるもの

また久々に再開。*1 仕事を始めたら、目の前のことにかまけて全く更新していなかった。 飽き性の健忘症。 まぁ、こんなもんだと思いながら、気が向いたので再開しよう。 今回は小説ではなくノンフィクション。一時期、話題となった「ソニー追い出し部屋」が…

栄花物語

山本周五郎は昭和を代表する文豪といえる。 代表作は大河ドラマにもなった「樅の木は残った」や小石川養生所を題材とした「赤ひげ診療譚」。こちらは黒沢明が監督で「赤ひげ」という名で映画化されている。 さて「栄花物語」であるが、「赤ひげ診療譚」など…

9・11倶楽部

馳星周は私の中で「直木賞に最も近い作家」として数年来認識され続けている。候補には上がり続けているのだが。ルノワール小説の旗手であり、多くのフォロワーが多い作家であるにもかかわらず、なかなか直木賞を受賞できないでいる。 バンドでいえば、Rushの…

蒲生邸事件

宮部みゆきの作品を本棚に収納しようと思うと、なかなか大変である。 まず著作が多いこと、そして面白いものが多いためである。 どの作品から残していくべきか、非常に悩ましいものがある。 「火車」「模倣犯」「ソロモンの偽証」「魔術はささやく」…時代物…

クライマーズ・ハイ

1985年に御巣鷹山で起きた航空機事故、日本航空123便墜落事故の報道に関する企業小説。 横山秀夫の代表作といえる。 主人公は地元紙の記者・悠木和夫。 未曾有の大惨事の中、新聞記者としての矜持、上司と部下に挟まれる状況での葛藤など企業小説として読み…

チグリスとユーフラテス

私が読書を始めたのはSFからである。 いわゆる、SF御三家の一人である星新一のショートショートがたまたま学校の教科書に載っており、興味をひかれたのである。 きっかけはSFでも私はSFファンとはいえない。 なぜなら、千冊ものSF小説を読んでいないからであ…

その女アレックス

イギリス推理作家協会賞受賞の海外ミステリ。 作者はフランス人のピエール・ルメートル。 フランス嫌いのイギリスが賞を与えるくらいだからよっぽど面白いのだろうと予想して、購入した記憶がある。 本屋で見かけた、あなたの予想はすべて裏切られる!という…

剣客商売1 剣客商売

池波正太郎の作品の中でも「鬼平犯科帳」「仕掛人 藤枝梅安」「真田太平記」と並んで、代表作といえる「剣客商売」の第一作。 七編収録。「女武芸者」「剣の誓約」「芸者変転」「井関道場・四天王」「雨の鈴鹿川」「まゆ墨の金ちゃん」「御老中毒殺」。 お気…

真夜中のマーチ

2003年に発刊された奥田英朗のクライムノベル。 奥田英朗といえば他に「最悪」「邪魔」「イン・ザ・プール」などが有名だが、読み返したいと思う回数はこの「真夜中のマーチ」が一番多い。 「最悪」「邪魔」のようなシリアスなクライムノベルよりも「イン・…

髪結い伊三次捕物余話 幻の声

オール讀物新人賞を受賞した、宇江佐真理のデビュー作。 5編の短編集となっている。 解説は池波正太郎の文庫のあとがきでよく見かける常盤新平。 捕物「余話」となっているように、捕物自体が重要ではなく、 主人公・伊三次を中心とした、人間関係などに主眼…

ダックスフントのワープ

純文学として第9回すばる文学賞を受賞した作品。 藤原伊織の処女作でもある。 4本の短編を収録しており、表題となっている「ダックスフントのワープ」は何度も読み返したくなる。 登場人物のマリは「悲劇的な性格」という言葉を「好き」であるという。 こ…

はじめに

9年ほど働いた職場を退職し、有給を消化している。 その間に、積んでおいた本や漫画も消化しようと思い立ち、 本棚を整理すると、同じ本が何冊も出てくる。 金額にして3万円程度である。 記憶力には自信があった。 それが過信であると理解するには十分な金…